共用キッチン付きオフィスの衛生管理のコツ
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フリーアドレスと共用キッチンが抱える衛生課題
フリーアドレス制の浸透に伴い、オフィスの共用キッチンは“社内のリビング”として存在感を増しています。
しかし、誰でも自由に使える便利さの裏には、”最後に使った人が分からないまま放置される”という衛生リスクが潜んでいます。さらにテレワーク比率が高まった昨今は、出社人数が日によって変動するため、日常清掃のタイミングがずれやすく、清掃漏れが起きがちです。
本記事では、共用キッチンで頻発する具体的なリスクを整理したうえで、日常・週次・月次の清掃ルールと運用のコツを紹介します。読み終えるころには「誰でも続けられる仕組み」と「数値で確認できる評価指標」を手に入れ、安心して使えるキッチン環境をデザインできるはずです。
1. リスク① 交差汚染──食中毒とアレルギー事故を防ぐ
共用キッチン最大の敵は交差汚染です。複数の利用者が同じまな板・包丁・布巾を使い回すことで、食材に付着した菌やアレルゲンが別の食材へ移動し、食中毒やアレルギー事故を招くおそれがあります。
ガイドラインをオフィス仕様に落とし込む
・厚生労働省『大量調理施設衛生管理マニュアル』では、用途別の器具使い分けと洗浄・消毒を推奨。
・オフィスでは布巾やまな板を色・ラベルで区分すると管理しやすくなります(一般的なHACCP運用例)。
・使用後は洗剤で洗浄→流水で十分すすぎ→アルコールで拭き取り乾燥という三段階が広く実践されており、手軽に導入できます。
2. リスク② におい・害虫──ビル全体のイメージダウンを防止
排水口のぬめりや生ゴミの放置は、悪臭だけでなくコバエ・ゴキブリの温床になりやすいとされています。これがエントランスや執務エリアにまで広がれば、オフィスビル全体のブランドイメージを損ねかねません。
防臭・防虫の基本セット
・排水トラップ:週に1回程度を目安に泡タイプのパイプクリーナーで洗浄。
・三角コーナー/ディスポーザー:生ゴミは当日中に密閉廃棄。
・冷蔵庫:例として金曜夕方に期限切れチェックを行い、“処分BOX”へ。
においの発生を”ゼロ”にすることは難しくても、悪臭が拡散する前に対処すれば被害は最小限に抑えられます。
3. 【日常編】誰でも回せるキッチン当番表と5分清掃ルール
作業 | 主な目的 | 所要時間(目安) |
---|---|---|
カウンター拭き上げ | 菌・アレルゲン除去 | 約1分 |
シンク洗浄 & 水滴ふき取り | 水垢・カビ防止 | 約2分 |
食器洗浄機フィルター掃除 | 残菜・悪臭防止 | 約1分 |
ゴミ分別確認 & 袋交換 | におい・害虫防止 | 約1分 |
合計 およそ5分 で完了します。曜日ごとに当番を割り振り、チャットボットや社内カレンダーで自動リマインドすると、やり忘れが激減します。
4. 【週次・月次編】集中クリーニングで“蓄積汚れ”を撃退
週1回(30〜45分目安)
・冷蔵庫内の棚を取り外して丸洗い
・排水口のカバー・パーツを外してブラッシング
月1回(60〜90分目安)
・換気扇・グリスフィルターを洗剤浸け置き→すすぎ
・排水管をワイヤーブラシで物理洗浄
これらは深夜・休日など使用頻度の低い時間帯に行うのが理想です。負荷が大きい場合は、専門業者と月1回の定期契約を結ぶと品質と効率を両立できます。
5. ルール浸透術──従業員を巻き込む仕組みづくり
1.ピクトグラム掲示:言語を問わず直感的に理解できる図解をシンク前・ゴミ箱上に設置。
2.30秒動画マニュアル:社内ポータルに掲載し、スマホで即確認。
3.“汚したらすぐ掃除”文化:掃除道具を手に取りやすい位置に配置し、ポジティブな声かけを社内SNSで共有。
ルールを守らせるのではなく、守りたくなる仕組みをデザインすることで浸透率が向上します。
6. 外部委託 vs 内製化──コスト・質・緊急対応を比較
観点 | 内製化 | 外部委託 |
---|---|---|
月額コスト | 0〜人件費換算 | 1.5〜2万円程度(50〜100㎡・週1回清掃の相場)。規模や追加作業を含むと上振れあり |
清掃レベル | 担当者差が大きい | 専門知識・機材で均質な品質 |
緊急対応 | 社内で即時対応可 | 契約外は別途費用・時間が必要な場合も |
BCP対策 | 担当不在リスクがある | 外部スタッフ確保で人員不足リスクを軽減 |
7. まとめ──衛生レベルを保つKPIと定期見直しチェックリスト
・ATPふき取り検査:表面の微生物汚染を数値化し、100〜300 RLU程度を目標値とする例が多い。
・従業員アンケート:月1回実施し、“におい”“使いやすさ”などの主観評価を点数化。
・半年ごとのルール再設計:検査結果・アンケート・当番表の達成率を照合し、改善策を策定。
衛生管理は一度整えれば終わりではありません。PDCAサイクルで継続的に改善し、共用キッチンを会社の“好印象スポット”に育てましょう。
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