外壁を汚す油煙をシャットアウト!飲食店ベントキャップ&外部ダクトの定期清掃
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放置すると壁が真っ黒!? 油煙が生む三大トラブル
飲食店の厨房から立ち上る油煙は、排気口から屋外へ放出された後、温度が急激に下がることで油分を含む微細な粒子として外壁に付着します。放置すれば外壁は短期間でくすみ、店舗イメージは大幅にダウン。
さらに ①美観悪化による集客低下 ②近隣住民からのクレーム ③油膜の蓄積による火災リスク――という三つの問題を招きかねません。
SNSや口コミサイトに黒ずんだ外壁が写り込めば店舗評価に影響するおそれもあります。油煙対策は「味」だけでなくブランド価値を守る投資と考えましょう。
油煙の正体と付着メカニズム
油煙は油脂と水分が高温で気化した「エアロゾル」です。粒径は 0.3〜10 µm 程度と極めて小さく、肉眼では霧のようにしか見えません。
蒸気のままダクトを抜けても、屋外で気温が下がると霧状粒子となり、風に運ばれて壁や看板に付着します。気温差が大きい冬場や早朝は凝縮が加速し、北風が強い立地では風下側の壁だけ黒くなることも。
粒子は粘性が高く、排気と同時に舞う粉じんを取り込みながら固着し、雨が当たらないひさし下では自己洗浄も期待できず、厚い油膜が残ります。
点検ポイント:ベントキャップ・フード・外部ダクトの要観察部位
外部に露出した排気設備は油煙の出口であると同時にトラブルの最前線です。点検時は次の三点を重点的に観察しましょう。
- 逆風防止フラップ:ばねの摩耗や油固着で開閉不良を起こすと排気効率が低下します。
- 防鳥ネット:油で目詰まりするとファンに負荷が掛かり、省エネルギー面でも不利です。
- 継手シール:シリコンシールやガスケットの劣化は雨水侵入や油漏れの原因になります。
これらは地上または脚立レベルで確認可能です。月に一度ライトで内部を照らしながらチェックシートに記録すると早期発見につながります。
法令と基準:消防法・自治体ガイドラインが求める清掃頻度
消防法施行規則第 10 条は「防火ダクトは定期に清掃し、可燃性付着物を除去すること」と定めていますが、具体的な頻度までは規定していません。
そのため飲食店業界では年 1 回以上の清掃を行うのが一般的な目安です。また、一部自治体の指導要綱では清掃記録を数年間程度保存するよう推奨しています。
実際の保存年数や清掃範囲は所轄消防署の指導に従い、スケジュール管理と帳簿保存をセットで行いましょう。
実践ガイド:外部ダクト清掃 5 ステップ
1.養生と安全確保
外壁・植栽をシートで覆い、周囲に立入禁止テープを張ります。高所作業はフルハーネスを着用し、近隣住民へ作業時間を掲示してトラブルを防止。
2.温水+中性洗剤で内部を洗浄
およそ 60 ℃ の温水に中性洗剤を溶かし、高圧洗浄機でダクト内面を上流から下流へすすぎます。生分解性洗剤を選ぶと排水処理が容易です。
3.汚水の回収・処理
排水口にオイルフェンスを設置し、浮上油を油水分離タンクで回収。産業廃棄物として適切に処理します。
4.乾燥
送風機で強制乾燥し、水分と洗剤分を完全に飛ばします。乾燥不良は錆びや再汚染の原因となるため要注意。
5.最終点検
内視鏡カメラで洗浄残しを確認し、フランジ部の漏れやリベットの緩みを増し締めして完了。報告書には写真を添付し、次回の参考情報として保管します。
ベントキャップのお手入れ:外して洗う基本ステップ
ベントキャップはドライバー1本で取り外せるモデルが主流です。
取り外したら、ぬるま湯に中性洗剤を溶かしたバケツへ 10〜15 分程度つけ置きし、軟化した油膜をナイロンブラシでやさしくこすります。特にフラップ軸とゴムパッキンは油で膨潤しやすいため念入りに。
洗浄後は十分に乾燥させてからシリコングリースを薄く塗布すると次回の固着防止になります。ゴムパッキンに亀裂があれば交換して気密を保ちましょう。
再取り付け時はネジにゆるみ止め剤を軽く塗布すると振動で緩みにくくなります。
予防策:フィルター交換と排気ファンの風量チェック
厨房フード内部に設置した金属フィルターは油煙の一次捕集装置です。月に一度取り外して洗浄し、目視で著しい目詰まりが確認できる場合は交換を検討してください。
フィルターが新品でも排気ファンの風量が設計値より明らかに低下していると油煙が室内外に滞留します。小型の風速計をフードの出口に当てて風の強さをチェックし、風が弱いと感じたらファンのベルトの張りや開閉板(ダンパー)の角度を調整しましょう。あわせて店内に取り入れる空気の量も見直すと、排気が逆流して煙が漏れるのを防げます。
外壁汚れを防ぐ方法:定期洗浄と簡易コーティング
排気方向の壁面は、環境に応じて おおむね 3 か月おきに低圧の軟水洗浄を行うだけでも沈着量を大幅に抑えられます。仕上げに市販の撥水スプレーやフッ素系簡易コーティングを塗布すると、油粒子の定着力が低下し次回清掃の手間が軽減します。
塗膜を劣化させないよう、pH 7 前後の洗剤と柔らかいブラシを選ぶことがポイントです。コーティングの耐用年数は環境によって異なるため、年 1 回程度を目安に再施工すると効果を維持しやすいでしょう。
まとめ:油煙対策はブランディング投資
油煙対策はコストではなくブランド価値に直結する投資です。
以下の年間スケジュール例を参考に、月次点検 → 四半期フィルター交換 → 年次ダクト洗浄をルーチン化しましょう。スタッフ教育マニュアルを共有し、誰でも点検できる体制を整えればクレーム発生を抑制できます。