管理規約の見直しは必要?2026年改正対応の判断基準を解説
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2025年5月に成立・公布された改正区分所有法は2026年4月1日に施行され、国土交通省のマンション標準管理規約も、改正法への対応を踏まえて2025年10月17日に改正されました。これを受けて、「標準管理規約が変わったら、自分たちの管理規約も必ず全文改定しなければならないのか」と悩む管理組合もあるでしょう。
マンション標準管理規約は、各マンションが規約を作成・変更する際のひな型です。そのため、改正版と一字一句同じ規約にしなければならないわけではありません。一方で、現行規約のうち改正法に抵触する条項は、2026年4月1日以降、その抵触する範囲で効力を失います。規約と実際の総会運営にずれがある場合も、見直しを後回しにすると意思決定に支障が生じる可能性があります。
この記事では、2026年改正への対応として管理規約の見直しが必要かを判断する3つの基準と、見直しを急ぎたいケース、すぐ全面改定しなくてもよいケース、実務上の進め方を解説します。
1.管理規約の見直しが必要か判断する3つの基準
管理規約の見直し要否は、「標準管理規約と違うか」だけで決めるものではありません。第一に改正法との抵触や総会決議の有効性への影響、第二に現在または近い将来の管理課題との関係、第三に規約と実際の運用のずれを確認します。
この3つの基準で整理すると、法令対応として優先すべき事項、マンションの課題に応じて計画的に検討する事項、任意の改善として次回の定期見直しで扱う事項を分けやすくなります。
基準1:改正法と抵触する・総会決議の有効性に関わるか
最初に確認したいのは、現行規約の内容が改正後の区分所有法と整合しているかです。総会の定足数、普通決議・特別決議の決議要件、総会招集時の通知事項など、意思決定の手続きに関わる部分は優先度が高い項目です。規約に定めがあっても、改正法に抵触する部分は施行後に効力を失うため、従来どおり運用できるとは限りません。
改正を踏まえた標準管理規約では、特別決議についても原則として出席者による多数決を可能とすること、特別決議を行う総会の定足数、全議案について「議案の要領」を通知することなどが見直されています。2026年4月1日以降に招集手続きを行う総会は、改正法に沿った定足数・決議要件を満たす必要があるため、現行規約や総会資料が従来の内容のままの場合は整合性を確認しましょう。
ただし、条文の読み方や経過措置、個別の決議への影響は専門的な判断を要します。総会決議の進め方や有効性に関係する可能性がある項目は、管理組合だけで判断せず、管理会社やマンション管理士、必要に応じて弁護士などの専門家へ確認しましょう。
基準2:現在または近い将来の管理課題に関係するか
次に、改正項目がマンションの現在の課題や、近い将来に予定している工事・意思決定に関係するかを確認します。たとえば、連絡が取れない区分所有者がいる、大規模修繕やバリアフリー化を予定している、配管の全面更新を検討している、建替えや再生の検討を始めたいといったケースです。
裁判所の決定を得て所在等不明区分所有者を決議の母数から除外する制度や、バリアフリー化など一定の共用部分の変更、建替え・建物更新・売却・取壊しなどマンション再生に関する制度は、課題を進めるうえで関係する可能性があります。ただし、利用できる制度や必要な決議要件・手続きは個別事情によって異なります。
実際の課題に関係する場合は、規約の全文改定を待つのではなく、該当条項と運用手順を先に確認する方法もあります。予定している総会や工事から逆算し、必要な調査と住民説明の時間を確保しましょう。
基準3:規約と実際の運用にずれがあるか
規約の条文が適切でも、実際の総会運営や書類の扱いが規約と一致していなければ、手続き上の問題が生じるおそれがあります。招集通知の記載事項、議決権行使書や委任状の様式、出席者数・議決権数の集計、議事録の作成・保管などを確認しましょう。
規約と運用のずれは、規約変更だけで解決するとは限りません。条文を変えずに、総会資料のテンプレート、事務処理の手順、管理会社との役割分担を更新すべき場合もあります。反対に、長年の慣行に合わせるため規約自体の見直しが必要になるケースもあります。
現行規約と直近の総会資料を並べ、手続きがどの条文に基づいているかを確認すると、ずれを発見しやすくなります。
2.早急な見直しを検討したいケース
改正対応の優先度は、法令との不整合が生じる可能性と、重要な意思決定までの時間によって変わります。対応を後回しにすることで総会運営や管理・修繕が滞る可能性がある場合は、早急な確認を検討しましょう。
規約の最終改定が古い/近く重要な総会を予定している
規約を長期間改定していない、過去の法改正との照合履歴がない、規約の最終改定日が分からない場合は、早めに現状を確認したいケースです。さらに、近く特別決議、大規模修繕、共用部分の変更などを議題とする総会を予定している場合は、招集通知を作成する前に確認する必要性が高まります。特に、2026年4月1日以降に招集手続きを行う総会には、改正後の定足数・決議要件が適用されます。
確認すべき資料は管理規約だけではありません。招集通知、議案書、委任状・議決権行使書、議決権集計表、議事録様式も対象です。規約の条文を改めても、従来のテンプレートや集計方法を使い続ければ、改正内容が実務に反映されない可能性があります。
重要な総会まで時間が限られている場合は、法令との整合性に関わる項目と、今回の議案に直接関係する項目を優先して専門家に確認してもらいましょう。
管理上の問題で意思決定が止まっている
連絡不能者の存在、相続後の所有者が把握できない状況、合意形成の難航などにより、必要な管理や修繕の意思決定が止まっている場合も、早めに相談したいケースです。改正制度を活用することで、課題を進められる可能性があります。
ただし、所在等不明区分所有者を決議の母数から除外する制度など、裁判所の関与や一定の要件が必要な仕組みもあります。単に連絡が取れないという理由だけで、管理組合が議決権を除外できるわけではありません。
自己判断で総会手続きを進める前に、これまでの連絡履歴、区分所有者名簿、登記情報、予定している決議の内容を整理し、管理会社やマンション管理士、必要に応じて法律の専門家へ相談しましょう。
3.すぐに全面改定しなくてもよいケースと注意点
改正があったからといって、すべてのマンションが直ちに規約全文を改定しなければならないわけではありません。ただし、改正法に抵触する条項など、変更が必須の事項は優先して対応する必要があります。現行規約に必要事項が反映され、当面の運用にも支障がない場合は、任意の改善項目を次回の定期見直しで検討する方法もあります。
ただし、「すぐに変更しない」と「確認しない」は異なります。変更不要と判断する場合も、照合結果と判断理由を残すことが重要です。
現行規約に必要事項が反映され、運用にも問題がない
現行規約を改正後の法令や標準管理規約と照合し、法令との不整合がなく、総会運営にも問題がないと確認できた場合は、直ちに全面改定する必要性が低いと判断できることがあります。過去の見直しで必要な内容を先行して取り入れているマンションもあるためです。ただし、変更が必須の条項が見つかった場合は、全面改定を待たず、部分改定を含めて優先的に対応しましょう。
また、標準管理規約との違いがあっても、マンションの規模、用途、設備、管理方式など固有の事情に基づく合理的な内容であれば、一律に変更すべきとは限りません。標準管理規約は重要な参考資料ですが、個々のマンションの事情を踏まえて規約を整えることが前提です。
変更を見送る場合は、法令対応として必須の事項に漏れがないか、将来の管理課題が生じたときに再確認すべき条項はどれかを明確にしておきましょう。
変更不要の判断でも確認記録と定期見直しを残す
変更不要と判断した場合は、確認した資料、照合した条項、判断理由、確認日、次回の確認時期を理事会議事録などに記録します。専門家へ確認した場合は、助言内容や対応方針も残しておくとよいでしょう。
記録を残すことで、役員交代後も判断の経緯を引き継げます。また、新たな法改正、大規模修繕、所有者構成の変化などがあったとき、どこから再確認すべきかが分かります。定期見直しの時期をあらかじめ決め、長期修繕計画の見直しや総会準備とあわせて点検する方法も有効です。
4.見直しを進めるときの実務ステップ
見直しを進める際は、まず現行規約と改正後の標準管理規約を対照し、法令との整合性や実務への影響が大きい項目を抽出します。その後、改定案の作成、理事会での検討、区分所有者への説明、総会決議、改定後の運用書類更新という流れで進めます。規約改正を決議する総会を招集する際も、招集手続きの時点で適用される改正後のルールを確認する必要があります。
全文改定と部分改定のどちらが適しているかは、課題の範囲、現行規約の古さ、管理組合の負担、今後予定している総会や工事を踏まえて判断します。変更箇所が限定的であれば部分改定が現実的な場合もありますが、長期間見直しておらず不整合が複数ある場合は、全文を整理したほうが分かりやすいこともあります。
規約だけでなく使用細則・委託契約・総会様式も確認する
規約改定後に実務だけが古いまま残らないよう、使用細則、管理委託契約、招集通知、議案書、委任状・議決権行使書、議事録様式などの関連書類も確認します。規約の変更が、管理会社の業務範囲や日常の受付・保管手順に影響する場合もあります。
理事会、管理会社、専門家の役割分担を決め、改定案を作る担当、住民説明を行う担当、総会後に書類を更新する担当を明確にしましょう。改定内容だけでなく、「なぜ変更するのか」「日常の管理や総会がどう変わるのか」を区分所有者へ分かりやすく伝えることが、円滑な合意形成につながります。
5.まとめ
管理規約の見直しが必要かどうかは、改正法との抵触や総会決議への影響、現在・将来の管理課題との関係、規約と実際の運用のずれという3つの基準で判断します。標準管理規約が改正されたからといって、必ず全文を同じ内容に変更するわけではありません。一方、改正法に抵触する条項は施行後に効力を失うため、法令との整合性や重要な意思決定に関わる項目は優先して確認・対応する必要があります。
直ちに全面改定しない場合でも、確認結果と判断根拠を記録し、定期的に見直すことが大切です。サンモール・サービスはマンション管理業者として登録され、マンション管理・管理組合支援業務を行っています。マンション管理士・管理業務主任者・マンション維持修繕技術者などの資格を持つ社員も在籍しています。管理規約の見直し要否や、規約と総会運営のどこから確認すべきか迷う場合は、サンモール・サービスへご相談ください。管理組合の状況に合わせて、必要な確認と対応の整理を進められます。



